最強シリコンを「使いこなす」ための知識

シリコーンのヘアケア知識 成分・素材

最強シリコーン
「使いこなす」ための知識

「シリコンは20世紀最大の発明の一つ」と言われることがあります。

これは美容成分としてのシリコーンではなく、ケイ素(シリコン)が半導体産業や化学技術に与えた巨大な貢献を指した言葉です。

ルーツは軍事・医療分野にまで遡り、
やがてヘアケアの世界にも革命をもたらしました。

「シリコンを上回る成分はほぼ存在しない」と言わしめるほど
圧倒的な性能を発揮

このケイ素(シリコン)の偉大さ
「最強の成分」と呼ばれる理由。

そこから生まれた
人工の化合物「シリコーン」
ヘアケアの世界でも「シリコーン最強説」が語られてきました。

実際、シリコーンを上回る総合性能を持つ成分ほとんどありません。

過剰な期待と使われ方の裏では、
誤解や偏った情報も多く広がりました。

入門編では「シリコーンとは何か?」を
中心にお伝えしましたが、
この中級編ではさらに一歩踏み込み、
歴史・化学・美容の3つの視点から深掘りしていきます。

  • シリコンが誤解された背景
  • ノンシリコンブームの裏側
  • 製品の進化
  • 「シリコンを上回る成分」は存在しないのか。

「なんとなくシリコンが良い/悪い」から卒業し、成分を「使いこなすため」の知識。

真の能力をお伝えします。

最強シリコン伝説シリコーンの正体

最強の強さをイメージした画像

シリコーンとは?

「シリコン」と「シリコーン」は
同じケイ素から生まれた物質であり、
別の物質です。

シリコンとはケイ素。
地球の地殻の25%以上を占める元素。

ケイ素を原料にして、加工して作られた人工のコーティング剤がシリコーンです。

シリコーンは
別名シリコーンポリマーとも呼ばれます。

・シリコン→元素ケイ素(Si)。自然  界に豊富に存在する原料。
・シリコーン→ケイ素を原料にして人工的に作った化合物。
 化粧品・ヘアケア・医療・工業で使用。
・シリコーンポリマー→シリコーンをポリマー化したもの。
 ヘアケアやシャンプーで最も多く使われる形態。

シリコーンは非常に安定性が高く、
安全性も高い化合物
撥水性・耐熱性・滑らかさに優れているため、幅広い分野で利用されています。

さらに最大のポイントは
原料・製造のコストが低い こと。

つまり「材料が安い」

例えば
天然オイル(ホホバ・アルガン・椿油)は確かに優秀ですが、
価格が高く、酸化によるニオイ劣化も起こります。

一方でシリコーンは、同等以上の効果を
「安価で」「安定して」 「再現できる 」という圧倒的な強みがあります。

「最強の安定性」のシリコーン。キーワードはシロキサン結合

シリコーンが非常に安定していて安全性も高く、撥水性・耐熱性に優れている最大の理由は、
その根幹にある「シロキサン結合」という化学構造にあります。

シロキサン結合とは
原子のケイ素(Si)と酸素(O)が交互に連なった、強固な骨格のこと。

熱・酸化への耐性
・有機物(天然油や一般的な合成油)の結合と比較して非常に強固。
・熱や紫外線、酸化に対して極めて強い。
天然油のように酸化してニオイが変わったり、劣化したりする心配がほとんどない。

撥水性と皮膜形成
シリコンのその表面は水になじみにくいメチル基で覆われています。
この構造が
・水を弾く(撥水性)性質を生む。
・髪表面に均一で滑らかなバリア(皮膜)を形成。

シリコンが「最強の成分」と呼ばれる理由

最大の強み
圧倒的なコストパフォーマンス。
「安価で化学的に安定した、均一で滑らかな皮膜」を髪の表面に形成できる。

総合面で最強としか言いようがないぐらいメリットが沢山あります。

性能が高さが圧倒的なシリコーンの特徴

【1】摩擦を劇的に減らす
髪の絡まり・引っかかりを改善。

【2】熱に強い
ドライヤー・ヘアアイロンからの保護。

【3】水を弾く
汗や湿気に強く、コーティングが長持ち。

【4】均一に伸びる
少量で滑らかに髪全体に広がるため、仕上がりが安定。

【5】酸化しにくい=劣化しにくい
天然オイルのように変質しにくく、ニオイも出にくい。

シリコーンの「構造上の強み」

シリコーンがここまで優秀なのは、
均一で滑らかな皮膜」を
安定して作れる構造 にあります。

・地球上に原料(シリコン)が大量にある
 →地球の地殻の25%以上を占める元素

・製造法が確立されている
 → 安く大量に作れる

・医療でも使用されるほど安全性が高い
 → 肌にも髪にも安心

・商品の品質が落ちにくい(安定性が高い)
 → メーカーにとっても扱いやすい

・消費者に効果を「実感させやすい」
 →シャンプーやトリートメントで、少量でも変化が出る

まさに「性能 × 安全性 × コスト」の三拍子が揃った成分です。

シリコン歴史

歴史と時空をイメージ

シャンプーや化粧品に使われる「シリコン(正しくはシリコーン)」の歴史は、
化学の発展 → 軍需産業 → 医療 → 化粧品 という流れで広がった、背景があります。

元々は軍事用途などで開発された素材が、
ヘアケアの世界の「髪のきしみ問題を一気に解決する成分」として美容に革命をもたらします。

正式には「シリコーンの歴史」になります。

  • 1845年→シリコーンの概念誕生
  • 1940年代→第二次世界大戦で軍需用途として大量生産
  • 1950〜60年代→工業・医療用途に拡大
  • 1970〜80年代→化粧品・美容業界に参入。ヘアケアで革命的
  • 1990年代→市販シャンプーの“標準成分”となる
  • 2000年代→ノンシリコンブーム
  • 2020年代→科学的評価が進み「使い分け」主流へ

注目するのは1970年代以降になります。
化粧品・美容分野に参入
ここから、シリコーンがヘアケアの世界へ入ります。

1970年代
リンスでの利用開始 リンスへの導入
●シャンプー後のリンスやコンディショナーに、髪の滑らかさを向上させる目的で
有機変性シリコーンが使われ始めました。
●髪のきしみを抑える効果が注目されました。

1980年代
シャンプーへの本格導入。シリコーンが「美容の主役」へ
●「朝シャン」ブーム。シャンプーとドライヤーの回数が増え、
髪のダメージ増加。
熱ダメージが急増。
●髪を守る「皮膜成分」が求められ、枝毛ケア用の高重合度シリコーンが積極的に使われるようになる(1987年頃)。
●シリコンで髪がツヤツヤになる」時代の始まり。

1990年代
市販シャンプーの「革命期
●多くのドラッグストア品にシリ コーンが標準化。
●「シャンプーだけで髪がなめらかになる」という感覚が生まれ、
  市販のシャンプーの品質が飛躍的に向上しました。

2000年代以降
ノンシリコンブームの到来
●「毛穴に詰まる」「カラー・パーマの邪魔をする」などの情報や懸念が広がり始めます。
  シリコーンの「吸着力が高すぎる」という裏の側面が表面化し、転換点となります。
●自然派志向とマーケティングが後押しし、「ノンシリコンシャンプー」がブームとなりま     した。

現在
シリコーンの再評価。処方と使い分けの時代へ
●ノンシリコンとシリコーン配合の双方が進化。
 シリコーン配合製品も重さが出にくい工夫
 ノンシリコンも洗浄成分を工夫し、きしみにくく改善。
「シリコーンの有無」よりも「処方や配合成分」が
  重視される髪質に合わせて選ぶ時代へ。

シリコーンの悪影響の歴史

シリコーンの歴史をイメージ

市場で爆発的に普及した裏で、高性能ゆえのデメリットが表面化しました。

より高い手触りやコーティング効果を求めるニーズに応えるため、
結果的に一部で吸着力の強いシリコーン
が過剰に使われてしまった過去です。

「施術の邪魔をする」という事実

「吸着力が強いシリコーンが施術の邪魔をする」という事実がありました。

ブームの裏で出てきたデメリットは、
髪を期待以上にコーティングしてしまったことにあります。

高いニーズに合わせた結果は、
パーマやカラーの薬剤反応を遅らせるなどの様々な支障が出てきました。

髪の表面を厚く覆いすぎてしまい

・パーマ液やカラー剤の浸透が遅くなる
・施術の仕上がりにムラが出る(発色・カール形成のムラなど)

といった問題が発生しました。

これによりシリコンはよくないとの情報がブーム的に広がりました。

画像を貼るキャンパでつくるビルドアップ(蓄積)

「誤解だった」と認識の違い

現代では、「シリコーンはよくない」というのは、誤解だったと認識されていますが。

それは、すべてのシリコーンシャンプーが問題ではなかったということです。

過去にブームなった
メリットもデメリットも事実ですが、
「一部のシャンプー」で起こった事実と言う意味です。

成分の進化

現在のシリコーンは、開発・向上によって、ほとんど解消されています

品質向上により、
「一般的なシャンプーやトリートメントでは、パーマやカラーに悪影響を与える可能性は低い」とされています。

「悪者のイメージ」ではなく、
「使用量や種類、洗浄方法によって性能が変わる高性能な成分」として、
正しく評価されるようになっています。

製品の進化

光と粒子。シリコーン製品の進化を示すイメージ。

過去のように髪へ蓄積したり、
施術の邪魔をしたりするリスクが大幅に低減されています。
技術の進化により、以下のような改良が進みました。

成分の「低粘度化」と「高機能化」

市販シャンプーの多くは、
洗い残りが少なく、
髪に蓄積しにくい
低粘度・高機能なシリコーンで髪に残りにくい処方が主流になっています。

低粘度化→すすぎで落ちやすい、揮発性の高いシリコーン(例:シクロメチコン)や、
     水溶性の高いシリコーンの利用が増えています。

選択的吸着性の導入→ 髪のダメージ部分にのみ優先的に吸着するシリコーン(例アモジメチコンなど)が登場しました。皮膜が必要な部分にだけ働き、過剰な蓄積を防ぎます。

適切な配合バランス

シリコーンを単体ではなく、処方技術によって、蓄積を防ぎつつ手触りを向上させる工夫がされています。

カチオン界面活性剤との組み合わせ
カチオン界面活性剤やその他の補修成分(アミノ酸・セラミドなど)と組み合わせて、均一に分散させてムラなく付着。
「ツヤ・手触りUP」と
「残留のしにくさ」を両立するように設計されています。

配合量の最適化
蓄積が問題にならないよう、製品の性能を保ちつつ、シリコーンの配合量を必要最小限に抑える技術が進んでいます。

施術前の対応

美容室では必要に応じて、
施術前にクレンジングシャンプーなどで髪を洗うことがあります。

通常のシリコーンやスタイリング剤もほとんど除去できるため、施術への影響を最小限に抑えられます。

過剰な除去は避ける→しかし、自然な油膜は頭皮の保護にもなります。過剰に洗浄成分で取り除くことで、頭皮の負担につながり逆効果になることもあります。

プロの判断→事前シャンプーの必要性の判断は、お客様の髪の状態や使用されている製品(薬剤)を考慮し、プロの判断におまかせすべきです。

シリコーンのライバルたち

進化して克服したイメージ

シリコーンの性能は
「表面保護」と「手触り向上」に特化しています。
さらに、安定性・コスト・効果の実感度といった総合面で最強です。

しかし、美容成分の世界には
シリコーンを「部分的に超える」ライバルも存在します。

保湿のライバル
水分をつかんで離さない「保持力」で超える成分。

  • セラミド
  • ヒアルロン酸
  • リピジュア(ポリクオタニウム-51)

→ 水分保持力が圧倒的で、シリコンより「うるおい保持」が優秀です。

補修のライバル
髪の「内部」に働ける分野では、シリコーンは得意ではありません。

  • ペリセア(エルカラクトン)
  • γ-ドコサラクトン(ドライヤー熱で補修する成分)
  • 加水分解ケラチン(PPT)

→ 髪の内部補修能力が強く、“本質的なケア”に優れます。

仕上がりのライバル
ツヤ・まとまりで上回る植物オイル。

  • アルガンオイル
  • 椿油
  • ホホバ油

→ ツヤ感はシリコン以上。
ただし「酸化しやすい」「重くなる」など弱点もあるため、
万能ではありません。

手触りのライバル

カチオンポリマー(ポリクオタニウム系)

→静電気防止・指通り改善は、シリコン以上の種類もあります。

シリコンと他成分の比較をまとめた表

最強と言い切れない理由

髪の「本質的な健康」や「特定機能の特化」という面では、シリコーンより部分的に優れた性能を持つ成分もあります。

シリコンは「ほぼ最強」ですが、「ほぼ」と言われる理由は、

●用途によって最強成分が変わる
●単一成分ではなく“処方全体”で性能が決まる
●新しい成分が常に開発されている 

といった背景があるからです。

「シリコンは万能だけど、完璧ではない」という表現になります。

これらの成分は、シリコーンの欠点を補い、
相乗効果を生み出すライバルであり、パートナーでもあります。

まとめ

成分でとても優秀な最強のシリコーンも時代とともに進化しています。

一つの成分に頼りすぎた過去の教訓から目的に合わせて使い分ける時代に変化しました。

どの成分にもメリット・デメリットがあり、
シリコーンは「髪の表面を整える役割」として守ることで、
保湿や補修成分が内部で働く環境を整えてくれます。

髪のしなやかさ・強さの源は水分量です。
髪は12〜15%の水分 を含むと状態が安定します。

どれだけ良い成分も、水分を逃がさない仕組み が大切です。

シリコーンや保湿剤は「水を守る」ためのバランスを維持するための成分です。

髪を美しく見せるのは、成分そのものより『水分バランス』が大切です。

究極的には、髪の健康を保つ
「水」が最強の成分かもしれません。

その水を保つ力(保湿成分)こそが、
真の意味で髪のコンディションを左右すると言えます。

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